県庁職員から地域おこし協力隊に・新規就農を目指す金井要樹氏の農業観・農地観

金井 要樹 氏

1984年生まれ。
千葉県流山市出身。筑波大学・東京大学大学院で植物生理学を専攻し、環境ストレスにさらされたシロイヌナズナの遺伝子発現や代謝調節などを研究。2012年から2018年まで千葉県庁にて、普及指導員として野菜農家への指導を行うほか、地域振興関連事業に携わる。2018年に遠野市地域おこし協力隊として岩手県遠野市に移住。現地の農業法人にて、パドロン栽培などに従事する。2021年9月には独立して新規就農を予定している。

 
 

■地域おこし協力隊としてパドロン栽培に専念

――今、作られているのは、パドロンという作物ですよね。おつまみとかに使われる。

金井:はい、そうですね。

――ほかに何か作られていますか。

金井:ほぼ年間通して動いていますので、パドロン専作ですね。一応、傍らでホップの水耕栽培を試験的にやっていますが。

――現在の働き方について、雇用関係はどのようになっているのですか?

金井:地域おこし協力隊なので、メーンの雇用主は岩手県遠野市になります。その活動として、農業法人で動いています。ビールに関係するホップやパドロンの栽培と、ビアツーリズム事業などを手掛けている法人です。


■農業は稼がなきゃいけないな、稼げないからこそ、今の衰退になるのかなと強く思いました

――金井さんご自身の農業や農地に対する思いは、いつごろ作られたと思いますか? どういうきっかけがあったと思いますか?

金井:もともと私は学生時代に植物生理学の研究者を志望していました。ただ、挫折して、就職しようと思った時に、今まで勉強してきたことを多少なりとも活かせる仕事がしたいなと思って、農業関係の職をということで、千葉県庁に入りました。本当は民間の方が行きたかったのですが……。言い訳になりますが、博士課程だとなかなかそういうところは難しい部分があるので。不利になって。

――東京大学出身でも難しいのですか?

金井:そうですね。結局、年齢制限の範囲内であれば何歳でも有利不利が無いことを謳っている地方公務員ならなれるかなと思って。

――地方公務員も多いですが、千葉県を選ばれたのは地元だからですか?

金井:地元なのと千葉県は農業県ですから。

――なるほど。そこで、県内の普及指導員として農業の技術指導をされたと思うのですが、その中で何か農業に対する考え方や気持ちが変わったというのはありますか?

金井:農業は稼がなきゃいけないな、稼げないからこそ、今の衰退になるのかなと強く思いました。稼げている農家というのは、わりと、後継者、子息や外部から受け入れなど、継手がいるのですが、逆に稼げていないところだと、親も子供に継がせたくないと言います、仮に子供が継ぎたいと言っても。やはり、稼げる農業を作っていかなければいけないのかなと強く思いました。

――ただ、そういった話は、今の農業の現状として、就職する前にも聞いていた内容ではなかったのでしょうか? 

この記事は、小川真如による個人研究「現代の農業観・農地観」の成果です。