
渡辺 祥二 氏
1970年、岐阜県生まれ。
高校2年の時、アメリカ・ミシガン州のカレドニア高校、1年間留学(同校卒業)。明治大学法学部法律学科卒業。建設業界に進み、独学で一級土木施行管理技士、測量士などを取得。2005年に農業生産法人を設立。農業生産法人有限会社FRUSIC代表取締役。
「農業を通じて、地域で起業する意味と面白さ、環境に配慮した取組みの継続」をキーワードにして活動している。奥飛騨の温泉熱を利用してドラゴンフルーツを生産・加工を補助金・助成金を一切受けずに行うほか、ヤギを飼育し除草を行う「山羊さん除草隊」、稲わらアートの企画などに取り組む。2013年に岐阜大学応用生物科学部、美濃加茂市と三者の覚書を締結し、岐阜県所有都市公園でのヤギの放牧実験を開始。ヤギ由来の堆肥を使ったサツマイモの生産・加工で、岐阜県立加茂農林高等学校の課題授業(食品開発)に協力。2017年、第46回日本農業賞「食の懸け橋の部」特別賞受賞。第19回全国山羊サミットinぎふ実行委員会企画・広報担当。
渡辺祥二氏の取組みの詳細は、農業生産法人有限会社FRUSICホームページ(ブログ)ほか、本人が執筆した渡辺祥二著『奥飛騨ドラゴン―温泉で育つドラゴンフルーツ』(まつお出版)、渡辺祥二著『山羊さん除草隊―「環農資源」とは』(まつお出版)に紹介されている。そのほか、朝日新聞フロントランナー2021年2月6日(https://www.asahi.com/articles/DA3S14788186.html)をはじめ、新聞・雑誌などの掲載多数。









■海外で見てきた経験や体験から、とにかく強い印象を感じたのは、自身が生まれ育った日本と比較して、農地や国土が広大だということです。その中で日本の場合は、狭い農地で何を栽培し、どうやって流通に乗せるかということがスタートになる
――農業のイメージだとか農地のイメージの柱になる経験というのは何だと感じますか?
渡辺:柱になる経験というか、自分自身が農業に携わってきて、今も継続できているというのは、建設業時代、農業土木と呼ばれる部分で、治水工事や土地改良など農業インフラをやってきたことが大きく影響していて、それが今も自分なりに求める農業に生きていると、すごく感じています。
――インフラで見てきたことというのは、どういうものですか?
渡辺:わかりやすく言うと、圃場整備では農地を集約、大きな田畑を作ります。さらに水インフラ、つまり、農業用パイプラインを敷設していくことで、滞りなく上から下まで田畑に水が供給されます。あるいは、その水を供給するためのため池工事など、そういった工事に携わってきたことで、農業というか農地というものに自然とふれる機会があり、そうした経験が基になって、今の僕の農業観が生まれ、そこから発想が生まれていると思います。
戦後の日本は、農業インフラに投資をし、私もそういった仕事に従事してきました。そのため、投資してきた農地と投資されなかった農地って、私が見るとすごく差があると感じるわけです。農業をやる上で一番大事なのは、日当たりとかうんぬんは当然ですが、水インフラの整備がされているかどうか、これが非常に重要なポイントなんです。もちろん、水がなくても自然の恵み(雨)だけでできる農業、例えば、果樹とかあるでしょうが、今の時代、何をするにも、水がしっかり供給されていることが、農業には欠かせない絶対条件ではないかと思っています。
――高校時代にアメリカやメキシコの方にも行かれたとの話も以前お聞きしました。その経験は農業観に影響を与えていると思いますか?