元農学部生・篠崎孝一氏の農業観・農地観

篠崎 孝一 氏

1984年生まれ。
大学、大学院(修士)で農学を学び、公務員(行政職)として採用され、現在に至る。これまでに、教育、米軍基地対策、スポーツ振興などを担当。農業分野へは未配属。

 
 

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■私が住んでいた町田市も結局、一昔前は農家ばかりで、たぶん、町田だけではなく日本も、高度成長の途中は農業従者の割合がけっこう高かったろうなと。その名残の終わりの頃の街に住んでいたのかな、という感じ

――「現代の農業観・農地観」の企画では、テーマや制約を設けず、各自の農業観・農地観を自由に語ってもらうというのが一つのコンセプトなのですが、今回は切り口を限定して、元農学部の人がどういった農業観や農地観をもっているのか知りたいと思っています。

数年前から、全国で農学系の学部が新しくできています。たとえば、2015年に龍谷大学が農学部を作っていますし、2018年には農業大学としては東京農業大学以来、実に93年ぶりに新潟食料農業大学が誕生したりしています。さらに、若者の中で農学部の人気が上がっている、という報道もあります。

個人的には農学部に入った人が、みんな農学系に就職すれば、日本農業は現状よりも面白いことになると思うのですが、実際はそうではないわけですよね。

実際のところ、農学部に入ったけれど、現状では農学や農業関係で勤めていない人というのは、どう考えていたのか、あるいは今どう考えているのか、そういった素朴な疑問を投げかけさせてください。

篠崎:農学部の中にも、理系と経済学などを含む文系に近い領域がありますが、私は環境資源科学科という、水、土壌、そして、大気などに関する基礎研究を行う学科に所属していました。

農産物だとか、農地ダイレクトというよりは、その前提になる土壌の構成、土壌中の金属イオンなどの成分、土壌に降り注ぐ降水中の栄養素といった内容です。そういう中で、私自身、理系の研究を突き詰めるというところに至らなかった

同級生の中には研究者として分析会社などに就職する方もいましたが、私は、科学だけでなく、文系的な領域にも関心が強かったので、結果として、そういう選択をしませんでした。先輩方が、必ずしも食品会社などの農学分野に就職していなかったことも影響しています。

――農業とか農地とかに対するイメージというのは、たとえば、高校までとかと大学入ってから、就職する時、今とかで変わってきたと思いますか?

篠崎:まず、考え方は高校から大学に入って変わりました。当初は、高校までは郊外の町田にある一戸建てに住んでいたので、周りに畑があるな、ぐらいのイメージです。

この記事は、小川真如による個人研究「現代の農業観・農地観」の成果です。