東京NEO-FARMERS!の仕掛人・松澤龍人氏の農業観・農地観

松澤 龍人 氏

1968年生まれ。
東京都農業会議事務局次長兼業務部長。1992年より東京都農業会議に勤務。1994年から現在まで農地関係制度を担当。2006年から新規就農相談の担当となり、2009年に東京都内初の新規就農者を誕生させ、2012年には東京都内の新規就農者等で組織の仕掛人となり東京NEO-FARMERS!を結成。東京都での新規就農希望者の多くは松澤氏のもとに訪れており、松澤氏はこれまで累計1,000人以上の新規就農の相談に対応してきた。

 

農地専門相談員。東京税務協会にて東京都主税局職員を対象とした農地法の研修を担当するなど、多数の講演会・研修会の講師を務めてきた。

共著書籍として、『都市農業・都市農地の新たな展望』(農政調査委員会、2021年)、『農地・農業の法律相談ハンドブック : 農業委員・農地利用最適化推進委員必携 改訂版』(新日本法規出版、2020年)、『Q&Aとケースでみる生産緑地2022年問題への対応・承継・税制のすべて』(新日本法規出版、2020年)、『ケース別農地をめぐる申請手続のチェックポイント : 権利取得・転用・税制等』(新日本法規出版、2019年)、『これで守れる都市農業・農地 : 生産緑地と相続税猶予制度変更のポイント』(農山漁村文化協会、2019年)、『ケース別 農地の権利移動・転用可否判断の手引』(新日本法規出版、2017年)、『都市農業必携ガイド : 市民農園・新規就農・企業参入で農のある都市づくり』(農山漁村文化協会、2016年)。東京NEO-FARMERS!の取り組みは、吉田忠則『逆転の農業』(日本経済新聞出版、2020年)でも紹介されている。

共著論文として「東京都における相続に伴う農地処分類型からみた生産緑地の存続性」『工学院大学研究報告』108(2010)、「東京都における相続を契機とする生産緑地の存続傾向」『農村計画学会誌』27(Special issue)(2009)、「東京都における都市住民と関わる農業活動に対する農家の対応」『都市計画論文集』38(2003)。

 
東京都内での新規就農の流れ(東京都農業会議HP https://www.tokaigishinki.com/howto/ より抜粋)。

JR新宿駅ちかくJA東京アグリパークでの東京NEO-FARMERS!マルシェにて。東京NEO-FARMERS!マルシェは、毎年、年15日程度開かれている。ここで新規就農者達は、自分の農産物PRをし、取引などにつなげている。

 

 

目次

■新規就農希望者1,000人以上から相談を受けた

――東京都内の新規就農希望者は、基本的に松澤さんに相談しているというのが実態でしょうか?

松澤:そのようなケースが多いかと思います。

――どのくらいの人数の方が来られますか?

松澤:私が担当になった2006年から累計だと1,000人以上ですかね。

――1,000人中でいうと、実際に就農した人は何人ぐらいでしょうか?

松澤:1,000人といっても、実際にいろいろな相談もありますので。その場で終わってしまう人もいます。また、相談後に進む研修先については、2020年に東京農業アカデミー八王子研修農場ができたので、そちらを紹介したりもしています。

東京農業アカデミー八王子研修農場ができる前は、すべて都内の農業者に頼んで研修先として受け入れてもらっています。そこまでたどり着くのが、1000人のうち何人かという話で。

――農家での研修というと、「農の雇用事業」を使うということでしょうか?

松澤:「農の雇用事業」などを使って、農家に雇ってもらって研修します。これまでの受け入れは、150人とか、それぐらいだかと思います。


■東京で新規就農が難しい理由

――基本的に東京での新規就農者の受け皿は少ないということですか?

松澤:少ないですね。

――なぜ少ないのでしょうか? 東京で新規就農が難しい理由というのは?

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この記事は、小川真如による個人研究「現代の農業観・農地観」の成果です。