社会的企業(ソーシャルファーム)に取り組む新井利昌氏の農業観・農地観

新井 利昌 氏

1974年、埼玉県生まれ。
知的障がい者や引きこもり、少年院、刑務所を出た人たちなど含め、一般の労働市場での就労が困難な人々を積極的に雇い入れる社会的企業「ソーシャルファーム」として、さまざまな背景をもった人々がともに働き、活躍できる社会の実現を目指している。

 

1996年に父親とともに埼玉福興株式会社を設立し、埼玉県初となる農業への異業種参入を実現した。農福連携についての取り組みが注目され、各方面から視察者などを受け入れている。さらに、グリーンケアとしてオリーブ栽培・加工に取り組み2016年、国際オリーブオイルコンテスト金賞受賞。2019年、山崎記念農業賞受賞。2021年、ノウフク・アワード2020優秀賞受賞。

埼玉福興グループ代表。埼玉福興株式会社代表取締役。NPO法人Agri Firm Japan理事長。株式会社ウェルフォレスト代表。株式会社ソーシャルケア代表。公益社団法人全国障害者雇用事業所協会常務理事、農水省関東農政局・関東ブロック障害者就農促進協議会会長、一般社団法人日本農福連携協会理事など。

埼玉福興グループの取り組みの詳細は、埼玉福興株式会社ホームページほか、本人が執筆した新井利昌著『農福一体のソーシャルファーム~埼玉福興の取り組みから~』(創森社)、近藤龍良編著『農福連携による障がい者就農』(創森社)、坂本光司・法政大学大学院政策創造研究科坂本光司研究室生52名著『幸せな職場のつくり方~障がい者雇用で輝く52の物語~』(ラグーナ出版)、濱田健司著『農の福祉力で地域が輝く~農福+α連携の新展開~』(創森社)に紹介されている。そのほか、新聞・雑誌などの掲載多数。

作業場は離農した畜産農家の旧畜舎を利用。ライブスペースもある。
ネギの種まき
水耕栽培にも取り組む
グリーンケアとして取り組むオリーブ畑
オリーブ畑の中にある会議スペース。新型コロナウイルスの影響を受けて設置した。
熊谷市立妻沼小学校とともにエディブル・スクールヤードに取り組んでいる
学年ごとに野菜を植えているエディブルスクールヤード
 

■農業観・農地観といえば、社会的農業ですよね

――何か「農業観・農地観」といわれて、すぐに思い浮かぶイメージはありますか?

新井:そこはもう社会的協同組合、社会的農場ですよね。

――社会的農場という言葉自体が、よく分からなかったり、言われても皆がイメージするものがおそらく違ったりするのではないかなと思いますが。

新井:それはそれでいいかなと思いますよ。それぞれ社会的農場って何だろうって思ってこっちに来る。今日も小川さん(聞き手)に全体を見てもらいましたが、たとえば見学ツアーのような形で見てもらう。こういったところを見てもらって、疑問に思わせるような感じでいいと僕は思いますよね。

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この記事は、小川真如による個人研究「現代の農業観・農地観」の成果です。